まぬけじる日記

もうすぐ不惑を迎える男のまぬけな日常を描いた雑記です。Twitter:@manukejiru

NANGAのオーロラダウンジャケットを着たら雪の札幌も余裕だった

 今年の冬はダウンジャケットを新調することにした。昨冬まで着ていたダウンとは、もう10年近くの付き合いになるが、買ったばかりの頃はもっとモコモコしていたように思うが、今では端々から羽毛が飛び出てしまったようで、なんだかペラペラしていて心許ない。せっかくだから多少高くても良いものを買おうと思い、ネットで検索してみると、NANGAという日本の滋賀県にあるメーカーが作ったオーロラダウンジャケットというのがなかなか評判が良いようである。

 どうでもいいことではあるが、僕は「同じものを買うのならばなるべく日本製を買うようにしたい」というゆるいポリシーの持ち主である。評判が良いうえに、日本製ということであれば申し分ない。ただし、NANGAというメーカーについては、恥ずかしながら今までに見たことも聞いたこともないので一抹の不安もある。念の為調べてみると、主にシュラフなどのアウトドア用品を取り扱っている会社とのことである。そりゃ用がなければなるべくおうちで引きこもっていたい僕のような人種に今までご縁がなかったというのも無理のない話である。

 ところで、お目当てのオーロラダウンジャケットには、普通(?)のダウンのほかに、別注品として、焚き火用の仕様になっているものがあることを突き止めた。焚き火仕様って何よ?と興味を持って見てみると、標準的なオーロラダウンジャケットは生地がナイロン製であるところ、焚き火仕様のものは燃えにくい素材を使っているため、焚き火をしている時に火の粉が飛んできても、生地に穴が空いたり、燃え移ったりすることがないとのことである。
 
 特別な生地を使っているだけあって、お値段は焚き火仕様の方が数千円ほど高いようだが、それには構わずに焚き火仕様を購入することにした。上にも書いたように、僕は極めてインドア志向の高い人間である。焚き火をしたことはおろか、マッチをこすったり、ライターで火をつけたりすることすら滅多にないような男である。そんな奴がなぜ焚き火仕様のジャケットを買い求めたのかというと、見た目がツヤツヤしている標準的なダウンよりも、質感がマットな感じで格好良いというただそれだけの理由である。



 注文してから数日後に届いたオーロラダウンジャケットは、思っていたよりもモコモコしておらず、ぱっと見ダウンジャケットには見えないほどである。それでもネットの情報によると、760フィルパワーだというのだから、大したものである。フィルパワーというのが何なのかはよく分からなかったが、700を超えたらそりゃもう大したフィルパワーだということである。

 このように立派なダウンジャケットを買ってしまったものだから、寒いのが大嫌いな僕も冬の訪れが待ち遠しくて仕方なかったが、あいにく今年は暖冬なのか、待てど暮らせどオーロラダウンジャケットの出番がやってこない。そんな不遇な日々を救ってくれたのは、会社からの出張命令であった。行き先は北海道の札幌である。当日の天気予報を見てみると、天気は降雪、気温は氷点下3℃とのことである。オーロラダウンジャケットがデビュー戦を飾るにふさわしい天気ではないか。

 新千歳空港に着いた時はカラリと晴れていた空も、札幌に近づくにつれて次第に暗くなっていき、札幌駅に着いた頃には吹雪といっても大げさでないくらいの雪が降りしきっていた。札幌はその積雪量の多さから、さながら蟻の巣のように地下街が発達し、整備されている。ほとんどの人は屋外を歩く際は地下を使うのだろうが、僕のような雪後進国から来た田舎者は物珍しさのため地上を歩くのである。北海道の人にとっては、雪が降っているのに地上を歩いている人の方がよっぽど珍しかろう。

 どれだけ道民から後ろ指をさされようが、今日はオーロラダウンジャケットの初陣である。ここでその威力を試さなければ、いつどこでそれができるというのだろうか。早速ダウンを身にまとって雪の札幌を歩いてみたが、見事なまでに寒さを感じない。むしろ歩けば歩くほど背中のあたりが暑くなるようである。当日はそれなりに風も強かったが、首元までしっかりガードできるデザインになっているため、冷気が入ってくることもない。前述のとおり、このダウンは焚き火仕様になっているが、このダウンを着て焚き火にあたったら暑くて仕方がないんじゃないかと思うほどである。

 ここから内情を明かすことになってしまうが、オーロラダウンジャケットの効力に意識を向けるよりも、積雪に足を滑らせないように注意を払うことの方に気を取られていたために寒さを感じなかったのではないかという説もある。とはいえ、僕が去年まで着ていたペラペラダウンでは、この吹雪の札幌における徒歩10分間を生き抜くことは到底できず、翌朝には凍死体として発見されていた可能性が高いので、オーロラダウンジャケットはこの冬ダウンジャケットを新調したい人に大いにおすすめしたい一品である。