まぬけじる日記

もうすぐ不惑を迎える男のまぬけな日常を描いた雑記です。Twitter:@manukejiru

2歳の娘を持つアラフォーのおっさんが髭を剃るとこうなる

 朝、洗面所でジージー髭を剃っていると、背後から「お父さん、野菜持ってきたよー」と先日2歳になったばかりの娘の声がする。

「あ?野菜???」なぜ髭剃りに野菜が必要なのか。

 寝起きということもあり、自分の頭の中で禅の公案のような問題を上手く整理することができず、父親の威厳も失われるほどえらく混乱してしまった。

 もしかすると、電気カミソリの発するジージーウィンウィンいう音のせいで、なにか別の物と「野菜」を聞き違えたのかもしれない。

 そう思って、洗面台の鏡越しに娘が持ってきた物体に目をやると、彼女の小さな手の中にあるのは、間違いなく、娘が普段おままごとで使っているプラスチック製のトマトやきゅうりである。

 「はい、どうぞ」やや誇らしげにそう言って、娘は僕の手にトマトやきゅうりなどを握らせようとする。「髭剃りをしているところに野菜を持ってきてあげるなんて、私、最高に気の利く娘でしょ!」と言わんばかりの顔である。

 彼女には悪いが、これらの野菜は髭剃りには何の役にも立たないので(まあおもちゃの野菜は髭剃りに限らずいかなる場面でも役に立たないのだが)、「はいはい、どうもありがとう」と適当にあしらいつつ、これらの野菜を洗面台の上に適当にうっちゃっておいた。

 ところがどうもこれが娘の気に食わなかったらしく、彼女は顔を真っ赤にして泣きながら抗議してくる。平常時でさえ会話の覚束ない二歳児の言うことではあるが、これでも一応親なので、彼女の言葉にならない訴えを理解することはできる。「せっかく私が髭剃りを頑張っているお父さんのために野菜を取ってきたのに、どうしてしっかり手に持っておかないのか」という趣旨の発言をしたいのであろうことは想像に難くない(このくらいは親でなくても察せそうなものではある)。

 これが2歳児ではなく、12歳や22歳であったならば、「髭剃りに野菜はいらないでしょ」という面白くもなんともないツッコミをしたり、「なぜ髭剃りに野菜が必要なのか説明しろ」と理性的な対応を促すこともできるだろう。しかし、目の前で泣き喚いている2歳児を前にしては、一度髭剃りを中断し、出社時間に遅れることを覚悟で、おもちゃの野菜を持って洗面所に突っ立っているくらいしかできないのが微妙なお年頃の娘を持つ父親の辛いところである。