まぬけじる日記

もうすぐ不惑を迎える男のまぬけな日常を描いた雑記です。Twitter:@manukejiru

新入社員にストレス耐性を求め出す会社に気をつけよう

 僕が勤めている会社のようなブラック企業スレスレの会社になると、新入社員に求めるものは「コミュニケーション能力」でも「国際感覚」でもなく、「ストレス耐性」ということになってしまう。

 採用の責任者あたりが「結局ストレス耐性なんだよなあ」とか小声で呟き始めるようになったら、その企業はブラック企業に片足突っ込んでいると言ってよい。
 
 21世紀になっても令和の御世になっても、理不尽が世の中から消え去ることはなかった。おそらくこの先もずっとそうであろう。新型コロナウイルスと同じように、理不尽とも上手く付き合っていくしかないのではないか。

 「with理不尽」の世界において、多少の「ストレス耐性」は不可欠である。不可欠ではあるのだが、「そもそもストレス耐性ってなんなのよ?」とか「人間のストレス耐性ってどうやって測るのよ」とかいう問題について世の中全体のコンセンサスが得られていない中で、これを単なる一ブラック企業がどのように採用基準に取り入れようとしているのか疑問である。

 ストレス耐性というものを少し噛み砕くと「常人が100と感じるストレスを30くらいにしか感じない」というものと、「常人と同程度にストレスを感じるが、上手にストレスを発散させられる」というものの2パターン存在するのではないかと思う。しかし、社員の採用という限られた時間と判断材料において、いずれかの特質を持つ人間をどうやって見出すのだろうか。

 いくらなんでも「あなたはストレス耐性のある方ですか?」などとストレートに聞くわけにもいくまい。仮にストレス耐性皆無の人でも、「いや、全くないです。ガラスのハートです」とか「例えて言うならCDケースの連結部分くらいでしょうか」とか「少し前に飛行機で自分のメンタルを預けるのを拒否されました」みたいなふうに答えてくれる人は稀であろう。

 「ストレスが溜まった時はどのように解消しますか」などということを聞いたって、当たり障りのない回答しか返ってこないだろう。世の中には嫁さんを殴ってストレス発散している男が相当な数いるようだが、まさか採用面接でそんな答え方はすまい。「旅行に行きます」とか「仲の良い友人と飲みに行きます」みたいなつまらない雑談みたいな展開になるのは目に見えている。

 ここで急に視点が変わって面接を受ける側の人へのアドバイスになってしまうが、この「仲の良い友人と飲みに行きます」という答えをしてしまうのは非常に危ない。偶然この場に若い社員から敬遠されている老害の役員なんかが同席していると、入社後に「そういえば彼(彼女)はストレス解消に飲みに行くのが好きだと言っていたな。ひとつ誘ってみるか」と執拗な飲みの誘いを受けてしまうことになり、甚大なストレス被害を被るからである。こちらは『仲の良い』友人と飲みに行くのがストレス解消になると言っているのに、彼の頭の中では都合良くその部分がカットされているのである。