まぬけじる日記

もうすぐ不惑を迎える男のまぬけな日常を描いた雑記です。Twitter:@manukejiru

ジャニーズに学ぶ人材育成術

 ジャニーズ事務所ジャニー喜多川氏が亡くなったそうだ。彼の死去を契機に、彼の事績についてそこここで語られているが、これほど戦後日本の芸能史に強い影響を及ぼした人間はいないのではないだろうか。

 彼の傑出しているところは、なんといっても数多の少年達の中から将来モノになりそうなダイヤの原石を探し当て、実際にそれを立派なダイヤに磨き上げる手腕ではないだろうか。世の中には、それこそ掃いて捨てるほどの数の少年達がいるわけだが、それら有象無象の中から、スターの卵を見出すだけでも相当肥えた目が必要なはずだ。まさに慧眼というやつである。それだけにとどまらず、彼らに歌やダンスのほか、立ち居振る舞いまで仕込まねばならない。たった一人のスターを生み出すだけでも相当な作業量のはずだが、それを何百名に対して行ってきたわけである。これだけのことを成し遂げるには、並外れた情熱が必要になるだろう。

 

 ところで、彼の訃報に合わせて、国内外のメディアが、彼が生前、事務所に所属する少年たちに性的虐待を行なっていたという報道もなされている。飽くまでインターネット上の情報に拠るものだが、これらの噂話のいくつかは最高裁によって事実として認定されているらしい。一体そういう話がどこから漏れていたのかは知らないが、自分が中学生、高校生だった時も、クラスの女子達が休み時間中に、ジャニーズの男の子達は社長からエッチなイタズラをされているらしいという噂話をしながらキャーキャー騒いでいたことを覚えている。そして確か僕もその噂を聞いて、ジャニーズ入りを泣く泣く断念したことを思い出す。

 僕もその時は単なる若僧だったので、「うわ、気持ちわりいな」くらいの感想しか持たなかったが、今になって考えてみると、「そうだよな、そのくらいでないとやってられないだろうな」と変に腑に落ちるところがある。ジャニー氏がジャニーズ事務所の運営を単なるビジネスとして行なっていたのでは、ジャニーズは決して今のような姿にはなっていなかったろう。ジャニー氏にとって、ジャニーズは単なる仕事という枠を超えて、自身の根源的な欲求を追求する場であったのだ。こういうところでフロイトを持ち出すのは、いかにもな話になってしまうが、性的な欲望こそが人間を突き動かす最大の原動力になるというのも強ち間違ってもいないのかもしれない。

 僕は別にジャニー氏の名誉を守る立場にも貶める立場にもないが、人類の歴史を繙けば、少年達への教育に性愛を用いるのは珍しい話ではないようだ。少年愛の話はソクラテスの饗宴にも出てくるし、スパルタや薩摩藩など日本の一部の地域でも少年兵の訓練の一環としてその手の行為が行われていたらしい。今の世の中の基準に照らし合わせて、これを善か悪かで判断しろと聞かれれば、悪であるのは間違いないが、強い結束を誇る組織を作り上げるためには、単なるビジネス上での結びつきというよりも、それを超えた何かが必要なのだろう。