まぬけじる日記

もうすぐ不惑を迎える男のまぬけな日常を描いた雑記です。Twitter:@manukejiru

時代遅れの深煎り好きにおすすめしたいセブンイレブンの「高級キリマンジャロブレンド~青の贅沢~」

 コーヒーが好きでよく飲んでいるが、こだわりを持ってコーヒーと向き合っている人に対しては相容れない何かを感じている。

 自分はコーヒーなんてとにかく飲んだ時にガツンと来るほどの苦さがあればそれで良いと思っているクチである。

 先日、なにかにつけて野暮ったい地元の駅の商店街には似つかわしくない、綺麗で洗練された感じのコーヒー屋がオープンした。

 店主が厳選したコーヒー豆を売るだけでなく、奥さんが淹れてくれたコーヒーをその場でいただくこともできるというスタイルである。

 せっかくだからプロが淹れた美味しいコーヒーを飲ませてもらおうと、「とにかく一番苦い豆で一杯淹れてください」と豪快に注文をしたところ、「いや、うちは浅煎りしか扱ってないので苦いだけのコーヒーというのはないんですよ」とのたまわれた。

 申し訳無さそうに言うのであればまだ救いようもあるが、「味や深みも解せずに単に苦いだけのコーヒーを求めるとはなんたる野蛮人だろう」とでも言わんばかりに若干上から目線でそう言うので、その態度に腹が立って仕方がない。

 「それじゃあ浅煎りだけじゃなく深煎りも取り扱えばいいだろ」と言おうとも思ったが、放っておくと薀蓄が五倍くらいになって返ってきそうだったので、黙って引き下がることにした。こちとらなぜ浅煎りは苦くないのかという知識すら持ち合わせていない程度のコーヒー愛好家なので、言い争いをするだけ無駄なのだ。

 あとで聞いてみると、当節は豆本来の味を楽しめるので、浅煎りのコーヒーが流行して人気を集めているようである。どうも浅煎りのコーヒーは苦味よりも酸味が強くあらわれる特徴をもっているらしい。

 自分が知らないうちに、コーヒーは苦い飲み物ではなく、酸っぱい飲み物に変化を遂げてしまったようだ。俺もついに時代の変化についていけない年寄りになってしまったのか、と絶望的な気持ちになってしまった。コーヒーは苦いからコーヒーなのであって、酸っぱさが先にくるコーヒーなんてコーヒーじゃない別の何かである。酸っぱいものが飲みたければ梅昆布茶でもレモン水でも飲んりゃいいのである。

 時代の変化に気付いた時に、なんとかその変化に付いていこうという人はまだ救いようがある。その逆に、時代の変化についていけなくてもいいから、同じように変化に付いていけないモノとだけ付き合おうという人は本当の年寄りになってしまう。残念ながら自分は後者に属しているようだった。

 以来、コーヒーを買う時は、まずそれが深煎りであるかどうかを確認するようになった。しかし、大抵の場合は最初からコーヒー豆の煎り具合について説明がなされることはない。確認を怠ってしまったため、不本意ながら酸っぱいコーヒーをズルズル飲むなんて憂き目を見た日も一度ではない。あの時感じた酸味はコーヒーの味だったのか、涙の味だったのか、はたまたその両方だったのだろうか。。。


 いまや時代の波に呑まれてしまった深煎りコーヒーを追い求めること数ヶ月。私が再び深煎りコーヒーに巡り合ったのは、実に意外な場所であった。何気なく立ち寄ったセブンイレブンにおいて売り出されているセルフサービスのコーヒー「高級キリマンジャロブレンド~青の贅沢~」の広告が目に留まったのである。

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セブンイレブン ホームページより抜粋


 ご覧の通り、このコーヒーは今の時代には珍しく、深煎りであることを前面に押し出している。正直に告白すると、無知で世間知らずの私は、このコーヒーを飲むまで、コンビニのコーヒーというものをナメていた。どうせ安いだけで、味は二の次三の次なのだろうと。Lサイズでも150円足らずなので、騙されたと思って飲んでみると、これぞ私が追い求めていた苦味、そしてコクであると感動してしまった。冒頭に述べたように、飲んだ時にガツンと来る苦さがこれにはある。下手なチェーン店のコーヒーどころか、安易な流行に乗せられている小賢しい自称専門店よりもよほど上質なコーヒーを提供してくれるセブンイレブンの企業努力には頭の下がる思いである。