まぬけじる日記

もうすぐ不惑を迎える男のまぬけな日常を描いた雑記です。Twitter:@manukejiru

ハイヒールも革靴も葬り去るのは容易でない

 自分では履いてみたことがないので分からないが、ハイヒールやらパンプスやらといった女性モノの靴というのはとんでもなく履きづらいらしい。巷では仕事中にそんな履きづらい靴を履かせるなというムーブメントが巻き起こっているようである。今までハイヒールなんて背を高く見せたい女性が好きで履いているもんだと思っていたが、どうもそういうことではなかったらしい。

 ハイヒールを履かなければ成り立たない商売なんて世の中にそれほど多くないはずなので、履きたい人は履けばいいし、履きたくない人は履かなければいいというだけのことである。実に当たり障りなくつまらない意見だが、僕としては同じことを男性用の靴にも当てはめたいと考えているのである。

 ハイヒールに比べて注目度は薄いが、男の革靴というのもあれはあれで履きにくいものである。
 
 まず革靴は走りにくい。革靴なんて履いて走るもんじゃないというお叱りもあるだろうが、僕のような締切ギリギリで行動する遅刻魔にとって、靴が走りやすいか走りにくいかというのは死活問題なのだ。スニーカーを履いていれば大事な商談に遅刻せずに済んでいたのにということが何度となくある。それほど革靴というのは走りにくいのである。革靴を履いたウサイン・ボルトと、スニーカーを履いた僕が競争をしたら、おそらく勝つのは僕ではないかと思うほどである。

 次に革靴は通気性が悪い。ハイヒールの場合も靴ずれや外反母趾といった健康被害があるようだが、革靴を履き続けたことによって水虫になってしまうというのもまた一種の健康被害であろう。靴ずれや外反母趾も労災認定されるのであれば、水虫もセットにしていただきたいものである。企業の方も水虫に労災を支払わなければならなくなったら溜まったものではないから、嫌なら革靴なんぞ履かなくて良いということになるはずである。

 ここまで書いてはたと気づいたが、果たして僕は誰に強制されて革靴を履いているのだろう。考えてみれば、僕に対して「社会人なら革靴を履きたまえ」と命令してきた人は一人もいない。周りのおじさん達が革靴を履いているのだから、履かなければいけないものなんだろうと勝手にそう思い込んで履いているというのが正解である。良くもまあそんなあやふやな遵法意識で15年以上革靴を履き続けてきたものだ。おそらく最近の脱ハイヒールムーブメントも似たようなものなのではないか。
 
 憶測に過ぎないが、「他の女性社員が履いているから自分も履かなければならないと思っていた」というのも「強制された」の範疇にカウントされているのではなかろうか。今までは「強制されている」と思い込んでいたものでも、やめてみたら案外誰にも咎められなかった、ということもあるのかもしれない。まずはこっそり革靴を履くのをやめるという個人レベルの運動から始めていくべきなのかもしれない。

 そう思って試しにスニーカーを履いてみたが、あまりファッション感覚が発達していない自分でも、スーツとスニーカーの組み合わせというのはイケてないなあと思う。スニーカー以外の楽な履物としてはビーチサンダルやクロックスなども考えられるが、スーツとの相性の話になってしまうとスニーカー以上に考えるだけ無駄である。スーツと革靴というスタイルが何十年も定着しているのは、それだけの理由があるからなのだろう。そうであるならば、ハイヒールや革靴を廃止したければ、それと組み合わせられるものについても見直されるべきなのだろう。